日本語は、4種類の文字を使用する興味深い言語である。ひらがな、カタカナ(外国語を日本字で書くときに使用)、漢字(中国語からの借用文字)そしてローマ字(日本語をアルファベットで書くときに使用)である。しかし、最近は、日本が他言語から言葉を借りてきたように、他の言語が日本語を自国語に取り入れはじめている。マンガ、スシ、サケ(酒)、そしてマッチャ(抹茶)などは、今や世界各地の家庭でも使用されている。ここ何年間は、この日本語の拡散がさらに進んでいることがみてとれる。たとえば、おもてなし、絵文字(スマートフォンなどで使用されるEmoji)そして「過労死」である。

2016年秋、厚生労働省は、過労死に関する白書を発表し、調査を行った1743社のうち4分の1近くが月に80時間を超える残業をさせていたことが明らかになった。政府は、96件の脳卒中や心臓麻痺による死亡を過労死によるものとして認定したが、専門家は、過労死の認定基準が厳しすぎ、実際の数はもっと多いと述べている。

これは、日本の人事リーダーにとって目新しい話ではない。日本の職場文化は厳しいものである。従業員は長時間働き、場合によっては、上司が退社するまで会社に残ることを強いられる。これでは、ワークライフバランスを達成することは難しい

過重労働が命にかかわる例として、2015年12月に自殺した電通社員高橋まつりさんの事件がある。彼女の死は、いまだにニュースの話題に上がっている。週刊文春は、まつりさんは頭がよく、快活な人として知られ、電通での試用期間中、賞賛を受けていたと報道している。東京大学を卒業後、夢見ていた電通に就職した。2015年10月に本採用となったが、その時期、電通は会計スキャンダルの渦中にあり、彼女の部署は14人から8人に減員されていた。さらに悪いことに、上司から激しいパワーハラスメントを受けていたという主張もなされている。まつりさんは、新入社員であることがいかにひどいものであるか、楽しみなど何もなく、土曜日でさえ仕事以外何もできないなどとツイートしていた。

このような状況に対処すること-発生に気づき、必要に応じて介入し、過労死のリスクを軽減すること-は、大変難しい場合もある。なぜなら、法定時間外労働時間を超えないように、残業時間を過少申告するよう会社が従業員に命令するようなことが当たり前のように行われているからである。

このような構造的な文化を変えるには、時間がかかり、トップから始めなければならない。国レベルでは、政府は、国のワークライフバランスを向上させるための対策本部を設け、プレミアムフライデーというキャンペーンを提唱している。このキャンペーンは、会社に毎月金曜日のうちの1日の労働時間を短縮するよう推奨している。驚くべきことに、会社によっては、それ以上の対策を採用している。たとえば、特定の時間での退社を強制したり、1ヶ月または1週間のうち何日間の遠隔勤務を許可したりしている。

人事の役割

高橋まつりさんの事件における人事の関わりについては明らかになっていないが、人事の責務の一部は従業員の健康と福祉である。今日の組織が必要としているのは、次のような人事リーダーである。従業員分析を活用してコスト削減対従業員の厚生の議論を起こすことのできる者、臨時職員や派遣社員を活用できる人材管理経験を有する者、そして、何よりも、スタッフを14人から8人に減員することに反対する勇気を持っている者である。過労死を減らすための変化を効果的に実現するには、人事リーダーと部署の管理職との間のパートナーシップが求められる。そして、過重労働になっている従業員を明らかにし、バランスを取り戻すための時間を与えることである。さらに、従業員が適切な時間に退社できる、または期限内に目標を達成するために助けが必要な場合にそれを言えると感じられる環境を作り出す必要がある。いずれにしても、人事がプレミアムフライデーのようなプログラム、またはその他人事が考えたプログラムを実施するよう経営陣に提案するとしたら、それは今である。

過労死は、各従業員、各人事チームまたは政府だけでは、減少させることが難しい深刻な問題である。各人事チームとビジネスリーダーたちが一丸となって、従業員の厚生を最優先にするべく協力して対処しなければならない。そうすれば、過労死は世界の辞書からなくなるかもしれない。

労働厚生省の白書(日本語)は、次のURLに発表されている。