9月に、ChapmanCGは、日本における人材ライフサイクルに関する一連のHRリーダー会合を東京で開催しました。各組織が市場における最高の人材を獲得し開発する努力を重ねる過程で得られたすばらしい進歩についてお話を聞けた、有意義な機会でした。一つは、Coca-Cola様主催による日本のHRリーダーのための会合、二つ目は、Merck Group様主催による日本の人材管理リーダーのための会合、そして三つ目は、CBRE様主催による日本の人材採用リーダーのための会合で、以下にそれらの総括を述べたいと思います。

各会合には、American Express、 Aon、Bausch & Lomb、Bayer、Beckman Coulter、BlackRock、British American Tobacco、BT、Cisco、Criteo、Danaher、Dell、Edgewell、EY、FedEx、Fonterra、GlaxoSmithKline、Goldman Sachs、Havi Logistics、Hilton、Huawei、 JP Morgan、Linklaters、L’Oreal、McCann、McDonald’s、Mondelez International、日興アセットマネジメント、Oracle、PerkinElmer、Philips、楽天、Salesforce.com、Sanofi、Standard Chartered Bank、SunGard、Symantec、Thermo Fisher Scientific、TwitterおよびUCBなど、約25社にわたるそれぞれの分野の上級リーダーの方々にご出席いただきました。

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日本におけるリーダーシップ人材の「Xファクター」をみつける:個人的願望

Coca-Cola主催HRリーダー会合では、主に、日本の真のグローバル人材を育てる取り組みについて話し合われました。キーとなった発表として、組織内の競争で優位に立つために必要な特定の職務を決めた企業の発表がありました。日本における事業においてこの職務が決定されたら、HRグループは、高い可能性のある社員だけがこの職務に就くようにします。この高い可能性のある社員とは、その職務で継続的に実績をあげられ、成功するための「原石」を有し、さらに、成功を得ることに個人的な願望を有している人です。

この個人的な願望こそが、場合によっては、日本の優秀な社員の中にみつけることが難しい素質であるというのがこの会合での一致した意見でした。その理由の一つは、才能のあるリーダー社員でさえ、自らの功績を上司や同僚にアピールすることを未だに恥ずかしいことだと感じているということです。しかし、さらに問題なのは、日本の職場における相も変わらない考え方です。つまり、上級管理職が上から目線で「社員に気を配り」、「より高い」地位にそれにふさわしい社員を配置してくれるはずという期待感です。社員が自分で自らのキャリアを支配するべきであり、誰か他の人に支配してもらうものではないということを教育する必要が未だにあるということは、明らかです。

あるHRリーダーは、自分が進みたい「目標とする職」を各社員が宣言しなくてはならないという決まりを作った自社の例を発表してくれました。この宣言の目的は、個人による目標設定という文化を生むことだけでなく、過去の高くついた失敗を防ぐためのものでした。その失敗とは、優秀な社員をある方向に昇進させたのですが、その人は全く違うキャリアの道を望んでいたといったものでした。発表してくれたHRリーダーの言葉を借りれば、この取り組みの過程は決して「きれいなものではなかった」ということです。なぜなら、優秀な社員の多くが、その目標を設定することに大変苦労したという事実があったからです。しかし、これはやらなくてはいけないことなのだというトップからの賛同を得て、HRチームはこの取り組みを完遂することができました。

何を言うかではなく、どのように言うかである

トップの人材に日本においてだけではなく、より広いグローバルなリーダーの世界で活躍してもらうといことになると、さらに課題が増えていきます。主として、英語力の不足によるものです。しかし、会合では、これは語学力の問題ではなく、語学の使い方の問題なのだという議論が行われていました。たとえば、代表的なものを3つ挙げるとすれば、説得力のある提案を行う能力、異なる意見を提案する能力、さらにはフィードバックを引き出す能力というものです。このような高度な語学的巧みさは、「グローバル幹部の貫録」という素質を構築するためには非常に重要な要素であり、さらに、グローバルネットワークにおける人間関係を活用する能力(願望とともに)もキーとなります。形ばかりの英語力向上命令に単純に頼ることなく、幅広いグローバルな認識を訓練することこそが、重要なのです。

このような訓練は、様々なかたちをとり得ますが、発表された例の一つは、経営陣にいくつかの日本的な慣習を打ち破ってもらうというものでした。その会社では、国際的な組織図が誰にでも見られるようになっていて、上級管理職が海外の同じような地位の人に簡単に電話して、様々な状況において何をするべきか、何ができるかについて経験を共有することが普通になっています。通常、日本の上級管理職にとって、このような方法を採ることは難しいものです。なぜなら、第三者から正式に紹介されていない人に電話をすることに遠慮が働くのが文化的に普通だからです。このケーススタディは、人々のコミュニケーションの取り方を微調整するほんの些細な取り組みが大変な成果をあげる例として、大変興味深いものでした。

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人材管理の成功には、トップからの、そしてボトムからの協力が不可欠である

Merck Group主催のHRおよび人材管理リーダー会合では、日本のリーダーシップ文化に人材および能力開発の精神をより深く根付かせるための各社の取り組みについて話し合われました。様々なケーススタディに共通のテーマは、組織の経営陣こそが人材を重要だと認識するべきであり、それがなければ、最高の人材管理専門家でもわずかな成果しかあげられないというものでした。人材および能力開発が効果をあげている例の多くにおいて、成功に結び付く方法(およびペース)で物事を進める協力が得られていました。ある例を紹介しましょう。日本のCEOが会社にとって絶対に得となりうる非常に優秀な採用候補者をみつけました。そのCEOは、組織に対してその人が与えうる効果を熱望し、その人を会社の新しいCEOとして迎え入れたのです。前任のCEOはキャリアプランを変更し、別の地域に転任しました。このようにして、全社員に、経営陣がその組織における人材および後継者育成に「口先だけではない」ことを示したのでした。

別の例としては、小売企業が非常に強力な学びの文化を全店舗に根付かせることができたというものがありました。この取り組みには、一連の社内指導教育プログラムおよびすべての職位におけるアンバサダー制度による長期にわたる育成が必要でした。アンバサダーは、高い基準を維持することにプライドもって、常に他のスタッフと頻繁なフィードバックを共有してきました。このケーススタディは、よい例は組織のトップから各職位の社員へとトップダウンで示すことができますが、学びの文化は、「ボトムアップ」のアプローチとセットになることによりさらに強くなるということをよく示しています。

単なる「補充要員」ではなく、日本の将来のリーダーを採用せよ

人材管理の全体的なテーマに沿って、CBRE主催の人材採用リーダー会合では、採用セクションがどのように会社の全体的な人材および保持の収益構造において協力的な役割を果たすかについて話し合われました。「補充のための採用」ではなく、「構築のための採用」という精神に焦点を当てることによってのみ、人材管理セクションは、会社が、その時点の職務を果たすだけの人ではなく、将来のリーダーであふれている状態にすることができます。

この精神は、採用のあらゆる段階に、その最初の段階においても、当てはまります。あるケーススタディによると、その会社は新卒採用においてすばらしいプログラムを有していたため、日本の最高級の大学から意欲的な人たちを新卒社員として採用することができました。しかしながら、そのプログラムは十分に個別化されたものではなかったため、入社後にそういった人たちのキャリアを正しく管理することができませんでした。多くのすばらしい学歴を持った人たちが、かなりの長期間、単調な仕事をすることなり、高い退職率、低い貢献、そして新卒採用における投資効率の悪さという結果となってしまいました。採用と人材開発プロセスをより綿密に結び付けることにより、この問題は大方修正されました。しかし、その採用リーダーは、いまだに多くの早稲田大学卒業生が入社3年たっても店舗で電気機器を売っていることを認めていますが。

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採用のスピードが退職のスピードを速めているのか…

本会合は、最後に、技術業界の会社の採用リーダーからの、その会社がつい最近ある驚くべき発見をしたという「ニュース速報」で締めくくられました。統計的分析から、その会社は、採用にかけた時間と採用した人のその後の退職率が逆相関の関係にあることに気付いたというのです。早く採用できればできるほど、採用された人が早く退職することが多いということです。この結果は、しばらくの間、社内で大変な問題となりました。なぜなら、その会社のグローバル人材採用セクションは、それまで、その採用という職務の効率とスピードで評価されていたからです。しかしながら、そのスピードそのものが、なぜか人材のライフサイクルの後の段階に問題を引き起こしているようなのです。

その会社は、この逆相関についてさらなる調査を開始しました。よって、今の段階では、その原因を推測するしかありません。リクルーターが両サイドに結論を急がせようとすることだけに集中し、悪い採用の「兆候」に十分気を付けていないからなのか。よりゆっくりとした採用過程であれば、意思決定をするすべての人が市場を正しく理解し、より正確な判断ができるからなのか。早い段階で、かつ短期間で面接を受ける人は「低い位置にぶら下がっている果実(簡単に手に入る)」であることが多く、ジョブホッパー(転職を繰り返す人)で、長期の成功採用ではないことが多いからなのか。今のところ、はっきりしたことはわかりません。しかし、その後の経過に注目していく所存です。

主催していただいた会社および参加者の皆様に、これらの示唆に富む会合の成功に感謝申し上げます。2016年の始めごろにまた同様の会合を開催する予定です。参加をお待ち申し上げます。また、9月に開催された日本のC&B(給与および手当)リーダーおよびHRビジネスパートナー会合の詳細に関する記事も、近々オンラインに掲載されますので、そちらもご覧ください。

ご感想

「この非常に複雑な市場の人事を新たに担当することとなった者にとって、目を開かせられる会合でした。そして、今後起こる可能性もある課題に対処する準備にもなりました。」- Anita Venugopal, British American Tobacco

「HR交流会ではいつも、新たなエネルギーと試す価値のある多くの案を得ることができます。また、日本の次世代のリーダーに向けた私の取り組みが他のすばらしい企業の皆さんとシェアできたことに感謝しています。同時に、多くのHRリーダーが共通の立場で取り組むことにより、解決策が必ず見つかると信じる力にもなっています。最後に、ChapmanCGは、HRにおける最新の傾向と革新的なアイデアをまさに正確にとらえています。ChapmanCGの情報提供によって、私たちはその職務を向上させることができ、今すぐ実行するよう力づけてくれます!」- Lydia Dorman, Coca-Cola

「日本のHR界で何が起きているのかを知るうえで非常に意味のある会合でした。さらに、ChapmanCG の最新HR情報に関するプレゼンテーションにも感銘を受けました。」- Shuji Aso, Hilton

「今回2回目の参加でしたが、同じ情熱をもって同じような課題に取り組んでいらっしゃる様々な業界のHRプロフェッショナルの皆さんと知り合うことができ、大変ありがたく思っています。」- Kazuhisa Ito, Standard Chartered Bank

「またまたすばらし会合でした。こんなにも様々な業界の会社のTA&HRのリーダーが同じような課題を日本で抱えているという点が興味深かったです。」- Tom Browne, Cisco

「こちらの会合はいつも、他のすばらしい採用およびHRリーダーの皆さんのアイデアを知り、自分の考えをまとめ上げるうえで非常に役に立っています。いつも様々なことを学ばせていただいています!」 - Michael J. Case, Salesforce.com

「この交流会は単に「お知り合いになる」というものではありませんでした。人材に関して深く掘り下げた議論から大変多くのことを学ぶことができました。次回を楽しみにしています。」- Ted Hossho, Sanofi

「リーダーシップと人材管理に関する意見交換が興味深かったです。他の業界の方々がお話しされた取り組みにも感銘を受けました。」- Yoshiko Nakazawa, GlaxoSmithKline

「日本の人材を国際的な環境で開発していくために様々な会社が採用しているアプローチをシェアできて、とてもよかったです。」- Julia Gao, L'Oreal

「同じような課題に取り組むHRプロフェッショナルの皆さんとお話しできて、勇気づけられ、元気づけられました。様々な業界のHRプロフェッショナルと意見交換し、ベストプラクティスを共有できるすばらしい場を与えていただき、考えを深める栄養素をいただいた気分です。」- Satoko Murakami, Merck Group