2015年初頭に、The Chapman Consulting Groupは、HR責任者のための会合を2回開催し、企業がいかに日本におけるダイバーシティという課題に取り組んでいるかについて意見交換を行いました。本会合は東京で開催され、新宿にあるHiltonおよび六本木のState Streetとの共催でした。両会合とも、AIG、ASML、Coca Cola、DHL、Energizer、Henkel、HILTI、Intel、Kellogg’s、Metlife、RB、Shell、SungardおよびZoetisその他多くの企業のHR責任者に出席いただきました。

ダイバーシティとインクルージョン(多様性と受容:D&I)は、ここ何年も北米や欧州において最重要な課題となっています。しかし、極めて同質性の高い人々からなるこの日本においては、その導入は遅れています。実際のところ、1億3千万人の人口のうち外国人が占める割合は2%にも満たないのです。このような環境において、D&Iの分野において各社が現実に何を行っているのか、また、効果的なD&I戦略を導入することが実際のところ可能なのかをたずねました。以下に、この課題に関する様々な、またある意味、驚くような意見をまとめてあります。

あるドイツ系化学品会社では、採用数、昇任数および退職数を統計的に調査し、その結果、統計的に女性社員が管理職になることを望んでいないということが明らかになったということです。その会社は、その根本的な原因を退職時の面接で調べようとし、多くの場合、女性は家族の面倒を見ることを望んでおり、同時に会社に迷惑をかけることをいやがっているということがわかりました。彼女たちは、日本の文化という強いプレッシャーを受けているのです。そして、フレックスタイムや育児休暇といったよくある会社の制度だけでは、それをなくすことができないのです。結果、日本の会社は、この状況を変化させ、女性管理職を配備するために多大な努力をしなくてはならなくなっているのです。

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米系保険会社は、採用段階からそれを実現しようとしています。この会社は、多様性のある候補者リストを作成することをまず優先します。そして、この方針に従わないヘッドハンターは使用しません。ある物流会社は、さらに大胆な方法を採っています。どのポジションについても、少なくとも1人の女性を面接しなくてはならないというルールを作っています。さらに、1人の女性がどのポジションについても受けなくてはならず、受けられない人は候補者リストから外されます。

既存の社員に関しては、いくつかの会社は、社内の固定的な考え方を「ロールモデル」戦略によって変えようとしています。管理職だけでなく、組織のあらゆる階層においてです。これらのロールモデルは、「旗振り役」となるのです。育児休暇を取り、そして戻ってきたら、成功裡に組織に復帰することにより、他の人にも同じことをするよう推奨するのです。インド系のIT企業は、ロールモデルを紹介するためにニュースレターを発行し、会社全体でこういった例を共有できるようにしているとも言っていました。

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日本は、D&Iに関していえば、難しい環境と言えるかもしれませんが、すべての多国籍企業がうまくいっていないわけではありません。実際、いくつかの会社がこの分野で成功している例を見ることができました。ある消費財企業は、強力な移動プログラムを導入し、世界中の多くのオフィスで多様性のある管理職チームを構築しています。日本においては、さらに、日本人ではない人を採用することを優先しています。これらは、ダイバーシティこそが新たなアイデアを生むというこの会社の重要な価値基準の表れの一つであり、それがこの会社の競争力の源となっているのです。

日本におけるD&Iについて、はっきりとした、また簡単な答えがあるわけではないということは明らかです。しかし、出席者全員にとって、非常に興味深い意見交換であったことは確かで、日本ではあまりこのような形で話し合われることのないトピックスに注目したことは意義のあることでした。出席者の全員の一致した意見としては、多くの企業が全体的なD&I戦略を見つけ出そうとしている過程にあり、それが故に、答えよりも疑問の方が多く見つかるということです。たとえば、母親のための産休、育児休暇は導入されているとして、父親の方はどうあるべきか。重要なのは男女比なのか、それとも日本人ではない人材を増やして新たなアイデアを推進することなのか。これらはすべて理想に過ぎないのか、これらの方向性から有益な成果は出ているのか。成果はどのように測定できるのか。などです。最後に、このニュースレターをご覧になった方が何かしらのヒントを得られ、自社を正しい方向に導いていかれることを願っています。主催していただいたHiltonとState Streetに感謝を申し上げます。2015年終わりにまた同様の会合を開催し、各社の進展を伺うのを楽しみにしております。