先ごろ、日本の採用担当(TA)リーダーがCiscoの東京六本木本社に集まり、日本における人事募集および社員ブランド構築について、何が有効で、何が有効でないかを話し合いました。会合には、Amazon.com、CBRE、Citi、Citrix、Coca-Cola、Covance、Philip Morris、楽天、Ralph Lauren、Salesforce.com、Telstraなど、様々な会社の方々にご参加いただきました。

現実

日本において人事募集を行う上で、リージョナルあるいはグローバル本部のある地域と比べ、大きな違いの一つは、実務担当者の不足です。多くの国では、ソーシャルメディア、マーケティング、またはイベントなどをそれぞれ担当するスペシャリストがいることが多いのに対し、日本では、1人がすべてを担当することが多いのです。社員も資源もギリギリで、採用予備人材(人材プール)を繋ぎ止めておくのも難しい状態になっています。雇用者としてのブランドこそが、会社が既存社員および社員候補者に対して有する唯一とさえ言える繋がりであるのに、専属の担当者なしには、有益な雇用者ブランドを構築して確立することは難しくなります。

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人材はどこにいる?

問題をさらに難しくしているのは、日本では人材が他の市場とは大きく違う行動をとるということです。他の市場に比べて、新たな機会を検討することに積極的ではない傾向にあります。あるグローバルIT企業の募集リーダーは、次のように述べています。「日本では、LinkedIn などのソーシャルメディア・サイトに載っている人材は、全体の5%にも満たないのです。よって、企業は、そのアプローチの仕方を多様化して、人材プールを作り上げていく必要があります。」最高の人材を獲得するには、社員からの紹介、募集広告やエージェントの利用など、あらゆることを行う必要があるのです。他の市場、たとえばインドや中国などでは、募集のたびに何百人もの応募者が殺到し、企業は絞り込みをしなくてはなりませんが、日本では、1人の応募者さえいないこともあります。日本での人材募集では、候補者の人数という根本的な問題が存在しているのです。

採用品質

「採用あたり単価」および「採用までの時間」という測定基準はありますが、「採用の品質」という測定基準はありません。しかし、考慮してみる価値のあるものです。ダイレクト・ソーシングという方法を採っている会社は、もちろん、エージェントに払う何百万円かのコストを削減することができます。しかしながら、エージェントが紹介することのできる人材は、エージェント手数料を補って余りあるほどのビジネスをその会社にもたらす可能性も大いにあるのです。時間もお金もかかるかもしれませんが、賢い企業は、エージェントという経路を完全に閉めてしまうようなことはしてはなりません。特に日本のように、積極的に機会を探している人材層が非常に小さい市場においては。他のほとんどの市場においては、同じ積極的な人材を様々な経路において見つけることができます。日本では、人は1つの経路だけを使用する傾向があります。1つのソーシャルメディア・プラットフォームであったり、1つのジョブサイト、あるいはエージェントだけを利用したりというふうに。よって、日本では、企業はすべての選択肢を活用しなければ、チャンスを逃し、高品質の採用を行うことはできないのです。

社員からの紹介の積極的活用

もう一つの興味深い意見交換のテーマは、社員による紹介プログラムについてでした。一致した意見としては、日本では、紹介ボーナスを上げても、紹介件数の上昇にはつながらなかったということでした。その理由として次の2つが挙げられました。自分の友人が仕事を得ることができなかった場合に会わせる顔がなくなるということと、忙しすぎて社員紹介プログラムに割く時間がないというものでした。いくつかの企業は、この問題を解決するために、創造的なアイデアを採用していました。ある会社は、社員からTAチームに候補者の連絡先を教えてもらい、それからTAチームが社員の友人に連絡を取るという方法をとっています。この方法だと、社員が割かなくてはならない時間を短縮し、かつメンツを失うという危険性を少なくすることができました。議論されたもう一つの方法は、グループ方式を活用するというものでした。社員が集まり、社外から誰を社内に受け入れることができるかについて意見交換してもらうのです。ある会社は、これらのグループ作業により参加者の記憶を呼び起こすことができ、結果、候補者を挙げることができたと言っていました。

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結論

人材募集および社員ブランド構築において、1つの解決策がすべてに当てはまるということはないというのは、驚くことではありません。そうではなく、それぞれの募集における品質vs人数vsスピードのバランスの問題なのです。また、各職務に最適な戦略、ダイレクト・ソーシング、ソーシャルメディアまたはエージェントの活用を選択するということなのです。さらに、受動的に応募に対応するのではなく、積極的に市場に関与すること、そして社員の関与を推し進めることにより、適切な人材を探すことが可能となります。

ChapmanCGのマネージング・ダイレクターであるOscar Fuchsは、次のように述べています。「日本では、多くの多国籍企業にとって、社員ブランドを構築することは、採用部門が抱えている他の問題に比べても、とても贅沢なことであると考えられています。しかしながら、時間と資源が活用されれば、社員ブランド構築によって応募者の人数と質に効果が表れることを目にしています。特に、他の手法と一緒に使用された場合に。また、社員ブランド構築の取り組みは、既存社員に対してもロイヤリティおよび関与手法と同じくらい有効な手法です。だからこそ、日本のHRリーダーは、雇用者ブランド構築を全体的な人材保持戦略の一部として含めることを考えるべきだと提言いたします。」企業にとって、多くの時間とお金を費やして社員ブランドを正しく構築し、同時にあらゆる選択肢を確保し、また雇用者ブランド構築にも注意を払うことは、最高の人材を見つけるために最適な経路を見つけるためのキーとなるでしょう。

参加者のご感想

「同じような課題を抱えている有能なプロフェッショナルにお会いし、問題を共有し、勉強するすばらしい機会でした。様々な業界、規模、年数の会社による様々なHRの取り組みや戦略、そしてその実際の成功や失敗を勉強できたことは、大変価値のあるものでした。次の会合にも出席することを楽しみにしております。」-Sonia Mayer、CBRE

「グローバル企業のTAリーダーの皆さんと意見を交換し、とても楽しかったです。候補者の経験がブランド構築において最も重要であると感じましたし、それについていくつかのベスト・プラクティスを学ぶことができました。本日の情報は、我が社の将来に必ず役に立つと考えます。」 ‐Yuka Suzuki、Coca-Cola

「この社員ブランド構築の会合は、大変興味深かったです。様々な業界のHRプロフェッショナルと日本における現在進行中の課題ともにベスト・プラクティスについて、奥深い意見交換をすることができました。」-Consuela Haralambie、Ralph Lauren

「ベスト・プラクティスを共有できるすばらしい機会でした。The Chapman Consulting Groupは、このようなグローバルHRおよび募集プロフェッショナルのための会合を東京で開催している唯一の会社です。」-Michael Case、Salesforce.com