2015年2月第4週に、ChapmanCGはHRネットワーキング会合を2回、東京で開催しました。日本の様々な業界のHRリーダーおよびHRビジネスパートナーが集まり、日本の将来のHRリーダーに必要な条件について話し合いました。2つの会合はCoachとMerck (MSD)の主催により、それぞれの日本本社、六本木および九段下で開催され、次のような広範囲な業界に属する企業からHR担当者の方々が出席されました。AIG、Apple、Coca-Cola、Dell、Gap、Google、Gucci、IBM、InterContinental Hotels Group、Johnson & Johnson、L’Oreal、三井、Morgan Stanley、野村証券、Novartis、Philip Morris、SAP、ソニー、武田薬品およびThomson Reutersです。どちらの会合でも、最新のHR課題について、詳細な検討が行われました。以下がその主な話題についての概要です。

多様な経験

両会合の主要課題の一つが多様な状況で経験を積むことの重要性についてでした。それによりHRビジネスパートナーが様々な角度から問題を理解することができるからです。これは、様々なHR領域で経験を積むということだけではなく、多くの業界、文化、そして理想的には世界の多くの地域における経験を有するようにするということです。

ある意味、日本企業は伝統的に、この面におけるキャリア開発に優れていると言えます。なぜなら、事業部門からHR部門へ定期的に人を移動させるからです。参加者の方々も、この「日本方式」が必ずしもパーフェクトな方法ではないことは認識しています。社内のHRについて深い知識を持てないという結果になりえるからです。しかしながら、欧米の多国籍企業も、最低でもこの慣習のエッセンスを活かし、事業部門の社員をHRチームに参加させ、事業部門の知識とHRチームが「相互に影響を受ける」方法を試みてはどうでしょうか。またたとえこの事業部門からHR部門への短期移動が難しいとしても、様々な領域の事業部門の経営陣にHRチームに対して話やプレゼンテーションをしてもらい、HRチームが会社の最前線の経営事項に「近づける」ようにすることはできるのではないでしょうか。ほんのささやかな試みにより、HRプロフェッショナルがHR業務以外の事柄について考えるきっかけとなり、同時にその対象者である事業部門の考え方も理解できるようになるのです。

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自らの個人ブランドを確立する

両会合で持ち上がったもう一つのテーマは、HR担当者としての個人「ブランド」を開発していくことの重要性です。これにより信用と地位を構築していけるからです。片方のグループでは、意見の対立を解決するにあたり、HRビジネスパートナーがどこまで中立的な調停者であるべきなのか、あるいは、HR担当者は自らの個人的な意見(または感情さえ)を出して問題を解決することが許されるのかという面で議論がなされました。もう一方のグループでは、このテーマに関し、自分の意見に耳を傾けてもらうために「自分の個性を活用する」という側面から取り組みました。それは自分の性格からくるものであるかもしれませんし、国籍、あるいは趣味や関心事からくるものでさえあるかもしれません。HR担当者としての自分のブランドを構築していくということは、自分の物語を作り上げるということであり、それにより他の社員が一人では考えつきもしなかった方法で業務を行っていけるようにすることなのです。

このプロセスの一部は、自社において信用を勝ち得るということはどのようなことであるかを見極めることにあります。なぜなら、信用という基盤を確立して初めて、先に進むことができるからです。一つの例として、「サイロ型(縦割り型)」の各事業部門間でベストプラクティスを共有するということを実現して、信用を確立したというものがありました。もう一つの例では、あるHRビジネスパートナーは、電光石火のスピードで仕事ができることを示して信用を勝ち得ました。意思決定者に「quick win(即効性のある成果)」をみせるには何をすればよいかを見抜き(またはより良い方法としては、聞く!)、そして信用を勝ち取って、そこから自らのブランドを上げていく方法です。

ロールモデルになり、自らのキャリアに責任を持つ

日本においては、真のHRリーダーに必要なことは、自らのキャリアの道を策定するという点でロールモデルになることです。いまだに日本では、社員の(HRまたはその他でも)移動または昇任は会社が判断することであると考える人が一般的です。実のところ、自らのキャリアに責任を持つという考え方に対し、他の国々の人は自由を感じるのに対し、日本では人を不安にさせるのです。これは、日本の人材が国際的な業務に(日本でも海外でも)たずさわることが不当に少ない理由の一つでもあります。他の文化の人はその職務に50%準備できていると感じていれば、昇任に手を挙げますが、日本人社員は、99%準備できていると感じるまで手を挙げることはないのです!よって、日本人社員は、これらの職務において「見落とされている」と感じることが多いのです。しかし、実際は、彼らが「ゲームのルール知っている(いかに行動するべきかを心得ている)」ようにするのは、HRリーダーの責任なのです。

メンターをみつける

あるHRビジネスパートナーがビジネスおよび/またはHRのメンターをみつけ、自らのキャリアを通じてその人との関係を保つという重大なポイントを挙げてくれました。この方法により、HRビジネスパートナーは決断にあたり、常に相談役を得ることができるのです。HRリーダーは、重大な機密である個人および会社の情報を託されているので、HR階層のトップにいるということは非常に孤独になってしまうこともあり、特に重要なことになります。Chapman Consulting GroupのCEOであるMatthew Chapmanは、さらに次のように述べています。「さらによいのは、複数のメンターを持つことです。1人のメンターを偶像化するのはある意味危険なことなのです。なぜなら、個人の欠点が何であるかについて360度の観点を得ることはできないからです。」

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意見の対立の解決:共有されるゴールを目指す

どのHR部門にも、意見の対立を解決するという役目が多かれ少なかれあり、HRリーダーはそれに備えていなければなりません。意見の対立を取り扱う上では、両サイドが何を達成しようとしているのかに焦点を合わせることが有効であるということで合意が得られました。対立している両サイドに属する社員が、実は同じ成果を得ようとしているのだが、そこに至るプロセスについて違う考え方をしている場合が多いのです。共通している事柄に焦点を合わせることにより、実際のプロセスの違いがそれほど大きな問題ではないということを両サイドに気付かせることができるのです。さらに、HRリーダーが両サイドの議論の「真ん中でお手上げ状態になる」ことを防ぐこともできます。

先駆けて自らの業務の真の必要性に着手する

事業部門とパートナーシップを築く上での「ニルバーナ(至福の境地)」の状態とは、HRリーダーが「三歩先を行く」状態である場合です。真のHRリーダーは、事業部門が既に考え付いたことではない発想を打ち出していく必要があり、その発想に対するお決まりの反対に対応できるよう準備していかなければなりません。この理想的な状態に達するには、HRリーダーはまた、会社とそのグローバル・ビジョンに対する熱意を伝える能力を持っている必要があります。このことは、ある国にある支社と本部の間に緊張関係が発生するおそれのある場合に、特に重要となります。社員に、そのような意見対立を超えて、共通のゴールに焦点を合わせさせることができるからです。理想的には、感情的な結びつきであることが望まれます。人は心から何かを感じた時にこそ、その行動が自然とそれに沿ったものになるからです。

結論として-自らに投資せよ

まとめとして、次のようなキーポイントが挙げられました。HRリーダーが自らその先入観を見直し、排除していき、新たな観点を受け入れていくことが必要であるというものです。そのためには、忍耐強く、絶えず自分のまわりの人の意見と「深く関わる」姿勢が必要となります。そして最も重要なことは、HRリーダーが自らに投資することを忘れないことです。他人に奉仕するだけでなくてはならないと感じないことです。継続的な改善という道を貫くことによってのみ、HRリーダーは、日本だけでなくあらゆる所において、真の意味でその可能性のすべてを達成することができるのです。

参加者のご感想

「すばらしいネットワーキング、興味深い意見交換、そして価値ある知識を得られました!同じような考え方のHRプロフェッショナルが集まり、英語で共通の関心事を議論できる素晴らしい機会でした。」-Ranjith Das, Dell

「能力ある参加者による、高度なグローバルHRリーダーおよびHRBPに関する他にない価値ある意見交換でした。」-Masayoshi Hashimoto、ソニーモバイル

「よいHRビジネスパートナーであるための秘訣の一つとして、ストーリーを伝えるというのは、新たな発見でした。自分の人間としての魅力、自分の「ブランド」に直接関係してきます。それによって、他者が自分を覚えてくれ、信用するかどうかを判断します。このような信用が築かれることによってのみ、ビジネスリーダーたちからの信頼を築くことができるのです。」-Reiko Teshiba, L'Oreal