ChapmanCGの人事リーダー会合アジア太平洋シリーズは日本へと移り、東京にて3日間で計6回開催されました。幅広い業界から20名程の人事リーダーが集まり、シーメンス(大崎)、シマンテック(赤坂)、ジボダン(目黒)、マグロウヒル(丸の内)、野村(大手町)、セールスフォース(六本木)の各企業の日本本社で開かれました。ジボダンでは非常に興味深い香料の研究室を見学させていただきました。この会合で共有された情報の匿名性を保護するために、詳細全てを報告することはできませんが、以下にプレゼンテーションや議論の内容を短くまとめました。

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1日目

初日の会合はドイツの複合企業シーメンスと、アメリカのソフトウェア企業シマンテックの日本本社で開催されました。参加企業はアディダス、アナログ・デバイセズ、カールツァイス、シェブロン、シティ、DHL、ダウ・ケミカル、エレクトロラックス、フォンテラ、グーグル、アイエヌジー、リクシル、ニューバランス、オーウェンスコーニング、ファイザー、プーマ、サンゴバン、武田薬品工業、テトラパック、ザイリンクス等で、人事リーダーを含めた方々にご出席いただきました。以下に重要なポイントをまとめています。

ある企業の人事リーダーが、競争が激化する環境で必要な動きとなっているものの中に、組織の再編と小規模化の取り組みを挙げていました。この実現は当然、士気に悪影響を及ぼし、プロセスを容易にするための魔法の杖などなかったと感じたそうです。全ての関係者にとって苦難の時であり、全社員との定期的な意思疎通が最も重要であるということに出席者の全員が同意していました。これは社員が本社と十分に議論した後にタイミングを合わせて意思疎通を図るだけでなく、現状を把握して今後の計画に並行した社員を保持することを意味します。また、社員の混乱を避けるために計画は整っていることが重要です。総体的にこの困難な時期を容易にするために役立つ3つの主な意思疎通のポイントがあります。まず初めに一貫性のあるコミュニケーションが必要であるということ、第2に相手の返答を予測し、それをカバーする準備ができている必要があること、そして第3に変化を受け入れる社員の良い振る舞いに報いることです。

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小売業界の人事リーダーは、後継者育成と人材開発強化の必要性がどのように地域の新しい人材開発プログラムの確立へと導いたかについて提起していました。このプログラムでは地域から20名が参加し、また審査員も20名で、参加者はプレゼンテーション、コミュニケーション、リーダーシップなどの年間を通したイベントやプロジェクトを通じて異なったスキルを課され、評価されます。参加者と審査員を同数にすることの利点は、各国の人々の異なる見解や評価を反映し、一貫した総合的な評価で測定できるところにあります。一方ではこのシステムは後継者育成の強力な人材を生み出してきましたが、このプログラムを卒業した人の士気を下げないように、その後実用的で適した任務を与えられるかという課題があります。

製造企業の人事リーダーは、日本で働きがいのある企業のトップ10に入るために、どのように社員の満足度を著しく増加させたかについて話していました。この企業では評価をするにあたって各個人に12問の質問をするのみで、はるかに迅速かつ簡単な社員満足度調査を行っています。日本では過去3年間でスコアに確かな増加があり、企業のグローバル平均よりもはるかに高い結果が見られました。それはコミュニケーションの強化と、経営陣と社員がグローバル戦略を理解し、同じ考えを持っているからです。これはプロの指導者を利用しただけでなく、複数の社外会議やワークショップによって遂行されてきました。また、職場環境の健康と安全を推進し、企業が社員を気にかけていることを示すために、朝の紅茶、誕生日カード、機会均等、小さな成功の頻繁な認識などをすることによって社員の士気と貢献力を高め、満足感とポジティブな職場環境を作り上げているのです。

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2日目

2日目の会合は非常に興味深い研究室ツアーを行ってくれたヨーロッパの香料企業ジボダンと、アメリカのメディアや情報サービス企業のマグロウヒルのオフィスで開催されました。参加企業はアッヴィ、アルカテル・ルーセント、アマゾン、ゼネラル・エレクトリック、ヒルトン、IBM、インテル、インターナショナルSOS、マースク、マーシュ、日興アセットマネジメント、フィリップモリスインターナショナル、ラルフローレン、レキットベンキーザー、レッドハット、テバ製薬、トリンプ等で、人事リーダーを含めた方々にご出席いただきました。以下に重要なポイントをまとめています。

グローバルな小売企業の人事リーダーは、新入社員雇用の実際の成功例を話題にしていました。その企業にとって文化を育てることは非常に重要であり、そして全社員が評価される15の指針によって新入社員は指導されていきます。この中心となる「DNA」の浸透を補助するために、この企業では新入社員を会社に溶け込ませるための90日間プログラムを導入しました。このプログラムの重要な側面は、初日の新入社員オリエンテーション、30日目の社長とのコーヒータイム、そして45〜90日目のビジネス原則訓練です。最後のセクションでは顧客との電話のやり取りを聞いたり、物流や倉庫センターで時間を過ごしたりと、一定の役割以外のビジネスの様々な側面を直に経験できる機会が含まれています。このプログラムの成功は綿密な離職率統計と人事考課時の採用の質に反映しています。

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グローバルなヘルスケア企業の人事リーダーは、どのように彼らの企業が顧客中心主義に焦点を当て、組織のための新文化確立へ挑戦したかについて提起していました。この新しい文化を発達、促進するために彼らはグループの相互作用と話し合いに焦点を当てた「ワールドカフェ」概念を利用しました。このプロセスの間、エンドユーザーに自身の経験したことについてプレゼンさせることで、究極の顧客について社員にさらに考えさせるように刺激を与えました。一連の過程の最後に、社員は企業に対する自身の誓約をカラフルな物に書くことによって、この新たな焦点の象徴を作り上げます。そのカラフルな物体はこのプログラムが終了してからも保存され、現在でもオフィスに飾られています。その結果、社員はオフィスで毎日この横を通りかかる度に文化構築活動への参加を思い出しています。

国際的な複合企業の人事リーダーは、人事ビジネスパートナリングを話題にし、多忙な人事業務の中でどのように効率的にクライアントに奉仕しているのかについて話をしていました。

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これには「珍しいサービス」の概念が利用されていて、マーケティングの理論から、まず顧客が全く気にしない部分を識別し、そして最も優先する部分を順位付けするという方法を利用しています。顧客に重要な事とそれほど重要ではない事を確認することで、優先順位付けと重要な分野での優れたサービスに焦点を当てることができます。またそれと同時に、まだ低い重要度の分野でも満足のいくサービスを提供し続けるのです。これは、期待値は中程度で「適切な」サービスを提供する格安航空会社のしくみに似ていて、人事が顧客に良い経験と良い価格を与える機会を可能にしています。そしてその後、期待に添ったビジネスクラスまたはファーストクラスのサービスを提供するのです。

3日目

最終日は日本金融サービス企業の野村と、アメリカのクラウドコンピューティング企業のセールスフォースによって主催されました。参加企業はアグフア、アリアンツ、アバイア、ボシュロム、ブルームバーグ、BP、コカコーラ、クラブメッド、エナジャイザー、フェデックス、フィルメニッヒ、ジェットスター、レノボ、マクドナルド、メットライフ、MSD/メルク、QVC等で、人事リーダーを含めた方々にご出席いただきました。以下に重要なポイントをまとめています。

グローバルな小売企業の人事リーダーは、職場における男性/女性の多様性への取り組みについて提起していました。現在ディレクターとマネージャー職に就いている女性は、女性社員の20%未満で、この企業は全ての役職において男女比を50%ずつにすることを目標に掲げています。彼らは日本女性リーダーシップネットワークを開拓し、多様性への取り組みを促進するためにスタッフの教育、指導を開始しました。これに加え、職場でより多くの女性をサポートするために企業は3方面からの多様性戦略を実行しました。まず、ワークライフバランスに焦点を当て、女性社員が家族の世話ができるように午後6時に帰宅するように奨励し、男性社員にはさらに子育てに関われるように奨励しました。次に、女性の採用、キャリア開発と促進のための明確な目標を掲げました。そして最後に、同社は女性が壮大でより野心的なキャリア願望を示せるために、思考/枠組みの変化を浸透させています。これら全てを実行するには時間がかかりますが、目標に向かって突き進むその姿を私たちは見守り続けたいと思います。

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エネルギー企業の人事リーダーは、人事がどのように自身のスキルを伸ばしてきたかについて話し、そして新たな人事プロフェッショナル開発モデルを考え出していました。この2つの主な目的は、ビジネスの継続的な成長のために必要な新しい人事スキルと可能性を発展させる事、そして他の産業のスキルをただ買い込む代わりに内部資源を発達させる機会を利用することです。この実施はまだ初期段階ですが、企業は人事機能の中心となる4つの主要分野を開拓し、徐々に発展へのより明確な見込みを作り出しています。これら4つの主要分野とは次の通りです。人事業務に関して技術的に精通すること、ビジネスモデルの強力な知識と理解に商業的に精通すること、物事を成し遂げる方法を知り、信頼できるアドバイザーになり、組織的に精通すること、そして最後に、企業の価値観や振る舞いの模範になることです。

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テクノロジー企業の人事リーダーは、カスタマイズされたソーシャルネットワークを介して社員を係合することによって、どのようにより社会的になろうとしているかについて提起していました。企業は透過性と協調性を提供するプラットフォームを使用して社員同士がコメントしたり、交流ができるシステムを開発しました。そしてその匿名化レベルが、様々な記事や話題についての即座の意見共有や議論を可能にしました。社員が目標を投稿し、誰もが見ることのできるように公開できるため、このツールは誓約、責任、認識のためにも使用されてきました。ここには礼状を公にシステムに掲載したり、同僚からの意見を求めたり、全てを掲載する事ができます。また、情報の全ては実績評価期間中にも照合、見直すことができます。日本のような市場はシステムを完全に活用するのに少し時間がかかっていましたが、そのアイディアは複数の市場でよく受け入れられています。

このシリーズが続くように、アジア太平洋地域の人事リーダーたちからの更なる情報共有を心待ちにしています。